2024年7月3日、画期的ともいえるニュースが報道されました。旧優生保護法により不妊手術や中絶手術を強制されたことは憲法違反だとし、全国の障害者らが国に損害賠償を求めていた訴訟の最高裁大法廷の判決がだされたのです。
障害のあるものを「不良」であるとみなし、「不良な子孫」を出生しないようにする目的で制定されたこの法に対して、立法時から違憲だったとするもので、15人の裁判官全員一致の原告側の全面勝訴の判決となりました。このことは社会が「優生思想」を克服する上での大きな前進になると確信します。
しかし、同7月に新聞報道されたある記事では、受精卵の着床前検査の申請数が増加しているとありました。体外受精した胚の細胞を検査し、遺伝子疾患が判定されれば着床前に受精卵を排除するもので、国によっては法律で規制されている検査です。
今回は「優生思想」というテーマで、疾患や障害のある人のいのちと尊厳が社会の中で揺らいできた事実をとらえ、そして「優生思想」をのりこえるために教育ができることは何かを探っていく特集としたいと考えます。