『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2025年2月号 1月20日発行〉

【特集】語り合おう教科書―子どもたちのための学びをわたしたちの手に

  • 全教共済
専門部

全国ですすまぬ「2級適用」の実態把握と都道府県へのはたらきかけ求める! ―― 全教臨対部が文科省へ要請!(12/16)――

12月16日、全教臨時教職員対策部(以下、全教臨対部)は、文科省に対して臨時教職員・会計年度任用職員の賃金・労働条件等の改善などについて要請。長澤裕全教臨対部部長は、「今日の機会に現場の声を少しでもたくさん聞いていただきたい」とし、要請に対して誠実に対応するよう求めました。

 

■ 臨時・非常勤職員の適正な任用

働き方や実績に見合う給与格付を!

全教臨対部は、地公法改正に伴い臨時・非常勤職員の適正な任用と勤務条件の確保が求められているにもかかわらず、臨時的任用教員の「2級格付」が、9都道県・9政令指定都市に留まっている問題について追及(※2025年1月、千葉県で2級適用を実現)。文科省は「任命権者において職務給の原則に基づき、適切に判断している」との従前の回答を繰り返すに留めました。

これに対し全教臨対部は、「ゆたかな教育実践の継承を担っている常勤講師の働き方や実績に見合う給与格付になっていない」ことなどを指摘し、2級格付について全国が足並みをそろえるよう文科省として強く働きかけるよう強く求めました。また、改めて全国の2級格付適用の実態把握を求めましたが、文科省は直接の回答を避けました。

 

■ 勤務時間に応じた期末・勤勉手当、

労基法に則った時間外勤務手当の支給を!

また非常勤教職員に勤務時間に応じた期末手当を支給するとともに勤勉手当も支給すること、時間外業務があった場合の時間外手当支給を行うよう指導・助言を全国にするよう求めたことに対し文科省は、「地公法改正に伴い、総務省からは事務処理マニュアルや総務省通知が出されている。それを教育委員会に送り、適切に判断するようにお願いしている。これからも引き続き説明の場でしっかりと対応するように周知したい」と述べるに留めました。

さらに全国の期末手当の支給実態について、文科省は、支給する制度は全県にあるが制度がまちまちで一定のルールをクリアする必要があり、「あまり対象者がいないという例もある」とし、「ほかの自治体の例も、全県に伝え検討をお願いしている。制度が始まってまだ1、2年というとこもあるが、『職務級の原則』『均衡の原則』もあるので、適切に判断していっていただけるものと考えている」と都道府県の判断に任せるとの姿勢を崩しませんでした。

 全教臨対部は、正確な実態把握に基づいて新たな通知等を出すよう迫るとともに「福島県でも制度はあるが支給の実態がない。通年で辞令を出しているので、勤務時間を夏休みとか授業がないところを入れた52週で割るので週15.5時間を切ってしまう。集中して勤務してるところの週15.5時間であれば良いと思うし、辞令の出し方も工夫ができるはずだ」と実態を示し、「少しでもこの新しい制度の下で手当を出すことが、非常勤で働いている方が報われることになる」と文科省の姿勢を質しました。

また、「時間外業務があった場合の時間外手当を支給するよう指導助言すること」について、時間講師の時間外手当を支給するやり方とか、仕組みとか、何が対象業務なのか、きちんと支給する仕組みを整えるよう各都道府県に指導することを求めたことに対して、文科省は、「要望先としては、我々文科省に労働法制的な指導助言を要請するより、労働基準監督権限を持つしかるべきところに要望を」と述べ要請に背を向けました。

 

■ 指導・助言なく叱責!口約束の雇用に不安も

パワハラ・マタハラ面接で不合格⁉実態で迫る

臨時・非常勤教職員や教育実習生へのハラスメントの問題について文科省は、「教職員については、都道府県指定都市の67教育委員会でハラスメント措置に関しての定めというものをした上で、適切にその措置を講じている。ただ一方、市町村単位で見ると1700を超える市町村全部で、そういったとりくみがなかなかなされていないというのが実情」「教育実習生については、文科省として通知を発出して、教育実習等に起きるハラスメントの防止について、教育委員会、受け入れる側と大学のどちらにも周知している」と回答。

全教臨対部は、非常勤講師が指導や助言がほとんどなく、逆に叱責されたりして、非常に働きづらかったとする事例や、「自分は講師だから、こんなことは言ってはいけないんじゃないか?言うと来年度も雇ってもらえないんじゃないか⁉」という雇用不安が年度当初から常に付きまとっていることや、雇用は基本的に勤務している学校の管理職から言われる口約束で決まっていること、採用時に出産の予定を聞くなどするハラスメント面接の実例を示して実のあるハラスメントへの対応を迫りました。

文科省は、こうした発言を受け止め、「こういう場で話を伺えて、我々からの指導の方法や指導の仕方、内容とかも含めて、改めて検討する必要がある」と改善へ向けて前向きな姿勢を示しました。

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