2007年に、すべての学びの場において障害のある子どもたちを対象とする「特別支援教育」が始まって15年が過ぎました。
しかし実際の学校現場では、特別支援学校と特別支援学級は大規模化し、教室も教職員も足りません。通級指導教室を希望する児童・生徒も増え続けていますが設置が追いつかず、必要な時間数の指導を受けられていません。通常学級の多くは発達障害などの障害のある子が複数在籍している状況にありますが、一人ひとりの子どもの発達に必要な手立てや配慮をおこなうにはあまりにも貧困な教育条件です。その一方で、現場の教職員の奮闘で貴重な実践も蓄積されてきています。
今号では、すべての学びの場が直面している課題を実践を通して明らかにし、「特別支援教育」総体としての課題をとらえる特集としたいと考えます。
「どの子も大事にした教育をしたい」という教職員の願いや、「わが子の成長に必要な教育を受けさせたい」という保護者の願いなどを集めた共同の力で、劣悪な教育条件や教育環境を改善していくことが求められています。