『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年4月号 3月20日発行〉

【特集】「せんせい」になったあなたへ2024

  • 全教共済
ニュース

改憲手続き法、教育改悪3法案の廃案を! 教育改悪3法案、改憲手続き法案反対4・25中央行動を実施!



 全教と教組共闘は、教育改悪3法案のたたかいと改憲手続き法案の強行を許さないたたかいを結合させ、なんとしても廃案にしようと、「教育改悪3法案・改憲手続き法案反対4・25中央行動」を開催しました。この日の行動では、教育改悪3法案の審議強行に反対し、衆議院の教育再生特別委員会の委員への要請行動を強めるとともに、特別委員会の傍聴・監視行動を実施しました。


 この日、衆議院では朝から教育再生特別委員会が開かれ、参議院では午後2時から8時20分までの予定で憲法調査特別委員会が開催されるとあって、国会前は与党の暴走をくい止めようと、労働組合や諸団体・個人が諸要求と結合した行動を雨の中展開していました。

教育改悪3法案と改憲手続き法案のたたかいを結合して何としても廃案に!   
 全教と教組共闘は午前中、衆議院議員会館内の会議室で意思統一集会を開きました。
 主催者あいさつした山口全教副委員長は冒頭、昨日実施された全国一斉学力テストについてふれ、「全国で237市区町村教育委員会が固有名詞を記入しない『氏名・番号対照方式』を採用。学校で言えば約24%の小学校が無記名で実施したと新聞は報じている。このことでいっそうの競争強化と子ども・学校の序列化という全国一斉学力テストの本質は変わらないが、しかし私たちの運動は重要な到達点を築いた」とし、「私たちの運動と国民の世論で、記名方式に固執していた文科省を例外とはしながらも無記名を認めざるを得ないところに追い込んだ。しかも全国の小学校の24%が無記名方式を採用したことは『例外的措置』と言えるものではなく、文科省の破綻は明らかとなった」と私たちのたたかいを評価しました。
 さらに、この間のたたかいを通して、文科省と地教委が溝を深める一方で、多くの地教委が全教の運動に信頼を寄せ、全教の権威が高まってきていることを明らかにし、その中で「教育基本法闘争の到達点に立ち、父母・国民と教職員の共同のたたかいとして展開されたことは重要だ」と述べました。
 最後に、「改悪教育基本法の具体化である教育改悪3法案を何としても廃案にするために全力をあげるとともに、そのたたかいを憲法改悪と地続きの改憲手続き法案のたたかいと合わせて、何としても廃案にするための行動を」と訴え、全教として急遽作成した宣伝用のテープやのぼり、地教委への申し入れ書(雛形)などの資材も活用し、運動と世論を広げていくことを訴えました。 
 
国民の声を聞を無視!5月2日に本会議なんて決して許さない!  
 続いて、日本共産党の井上哲士参議院議員が国会情勢報告。「安倍首相は自分の任期中に改憲するとして、今度の国会で改憲手続き法案をつくれと大号令を出したことが今国会の様相を大きく変えている。自民党の言う改憲と結びついた手続き法であるということが浮き彫りになった」と指摘。
 「侵略戦争の反省を投げ捨てている勢力が9条改憲をすすめ、さらに教育基本法を改悪し、これにもとづく具体化をしようという勢力が地続きであるということが、特別委員会での審議でも明らかになっている」と述べました。そして、20日の衆議院の特別委員会での中山元文科大臣の発言を紹介。「アメリカの下院が従軍慰安婦問題で決議をしようとしている問題で、厳しく批判したうえで、『美しい国は強くなくてはいけない。間違ったことに反論していく勇気、強さが必要だ。当時は公娼制度があって売春が商行為として認められていた。儲かる商売だったことも事実だ』と発言した。こうした人物が元文部科学大臣であり、全国一斉学力テストをやるべきだと強く言った人物でもある。こうした人物が、教育3法の中心に座っているということが事態の深刻さをあらわしている」と述べ、「私たちは9条改悪と根っこはひとつだという問題を暴露し、まさに憲法に関わる問題であり改憲手続き法案の徹底審議を求める」との決意を示しました。
 また、与党が強行的な日程で審議をすすめている問題について、昨日開催された改憲手続き法案の地方公聴会についてふれ、「仙台市の公聴会の与党枠の陳述人は開催前日に決った。しかも資料は当日の朝渡されたという。形ばかりの公聴会となっている。国民の声を聞くものとなっていない。連休中の2日にも本会議をやりたいなんてことを与党は言っているが決して許すことはできない」と語気を強めました。
 「教育3法案は国民の願いと逆行していることが明らかになっている。先日の委員会でも学テが集中的に議論された。私たちは全国一斉学力テストが受験産業の儲けの手段となっており、教育を競争に駆り立てるものだと指摘した。ベネッセが独自テストを学校ごとに売込みしている問題について、文科省は『公正性に疑いをもたせる可能性がある』と答弁したが、ベネッセは「通常の販売活動の範囲であればとくに問題ない」と居直っている。こういう企業が全国の子どもたちのデータを持つことが恐ろしいかが明らかになった。ベネッセの雑誌に文部科学省の初中局長や学力調査室長などがたびたび登場している。自民党からも『官製談合だ』との声もあがっていたが、まさに教育を競争に駆り立て、特定の企業の食い物にしているという構図がはっきりしてきた」とし、この問題と改悪教育基本法の具体化が何をもたらすか、国民の関心に沿いながら明らかにするとの姿勢を示しました。
 最後に、「みなさんと一緒に大いに運動と世論を広げながら、改憲手続き法案も教育3法案も廃案を目指し、全力を上げていく」と決意を述べました。
 
◎衆議院 教育再生特別委員会の審議経過と今後の日程については以下のように示しました。
 
 18日(水) 特別委員会
 20日(金) 特別委員会 質疑(7時間) ※安倍首相出席
 23日(月) 特別委員会 質疑(3時間)
 
 25日(水) 特別委員会 質疑(6時間)を予定
 26日(木) 特別委員会・参考人質疑(3時間)を予定
 
※ 27日については与党から、「野党質疑5時間」という提案がされているが、27日の持ち方については今日の理事懇談会で引き続き協議することになっている。 
 
<<各地からの発言>>
 
 道教組の大口書記長は、「毎週水曜日に札幌の大通りで街宣行動を行っている。私は、改憲手続き法や教育改悪3法、米軍特措法が同時に国会で審議されているということにたいへんな問題を感じている。平和の砦の9条を変えて、国が決めたことに従順に従わせる教員と子どもをつくる。43年ぶりに全国一斉学力テストが行われた。北海道は旭川学テ判決の地元。旭川学テ判決で何が問われたか?それは教育権は国家にあるのか、国民にあるのかである。今一度議論することが求められていると思う。全国一斉学力テスト問題の核心は、子どもたち、学校、父母を競争の渦の中に巻き込んでしまうことだ。たたかいの中で札幌市は無記名方式を行ったが、今度は公表すると言い出した。新たなたたかいをつくりあげねばならない。私たちは思考を停止せず、あきらめず、ともにがんばりましょう」と決意を語りました。
 
 京教組の深澤さんは「今回の全国一斉学力テストをある教育長は、『現場をしらない国の役人のやっていること。怒りが収まらん』と私たちに話してくれた。今回の学力テストの構図は教育3法の構図そのものではないのか。改悪教育基本法の具体化だととらえている。昨日、学校では朝から午前中ずっとテストを受けた子どもたちが、6年生と言えどしんどくて、塾に通っている子どもは『あんがい楽だった』と言い、そうでない子どもは『これが受験というやつか』と言った。京都で、学力テストの差し止めを求める仮処分申し立てが市民運動としてとりくまれた。申し立てをした9人の子どもたち・父母。中3の女子生徒は『私ははっきり言って勉強が苦手です。テストのできも悪いです。今度のテストのことについてお母さんと話している中で、友だちと本当に仲良くしたいんだけど、競わされてしまう中で傷つく友達が出てしまう、私自身も傷ついてしまう、そういうことが本当に嫌でたまりません』と手記を私たちに寄せてくれた。学力テストは実施されたが、間髪を入れず、子どもたちや父母の思いや教師が感じたこと、さまざまな事実をもとに検証運動を強め、引き続いて中止を求める要請行動や宣伝行動を強めたい」と述べました。 
 
雨の中、国会前行動に600人が参加!9条改悪と地続きの改憲手続き法は許さない!

 全教・教組共闘の意思統一集会後、参加者は国会前行動に参加。雨をついて労働組合・団体・個人600人が国会前に集結し、諸要求の実現を求めるとりくみと結合して改憲手続き法案の成立を許さず、必ず廃案にする決意がそれぞれに述べられました。
 全教と教組共闘、および埼玉を代表して埼教組の贄田副委員長が決意表明。
 「この国会前に来て、昨年の4月から12月までみなさんとともにたたかった教育基本法改悪反対のたたかいをもう一度思い直した。教育基本法は改悪をされたが、あのたたかいは全国で憲法改悪反対、改憲手続き法反対の運動の基礎を築き大きく広げた。いま改悪教育基本法の具体化である教育改悪3法案が国会で審議されている。この3法案を許さないたたかいを憲法に立脚して、何としても廃案にしようと今日も全国から仲間が駆けつけて行動している。昨日、行われた全国一斉学力テストは、埼玉でも13万人が受けた。この学力テストは、子どもと学校を序列化し、競争の教育をいっそう広めるものだと批判してきた。また、民間の受験産業に個人情報をもたらす問題を批判してきた。この運動は文科省を動かし、一部手直しを行わざるを得なくなった。こうしたことを含めて子どもたちや地域の人たちとともに、子どもの教育を守るとりくみを広げていきたい。私たちは『教え子を再び戦場に送らない』との不滅のスローガンを掲げている。政府与党の暴挙を許さず改憲手続き法案の廃案まで、教育改悪3法案の廃案目指すたたかいと結合してがんばる決意だ」と力を込めました。

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