「特別支援学校の設置基準を考えるシンポジウム」が1月28日、オンラインで行われました。保護者、教職員、研究者、組合ОB、教育・障害者団体関係者など79人が参加。国会議員も6人(加えて議員秘書4人)参加し、あいさつしました。
最初に、全教障害児教育部から「設置基準提言」と「設置基準案」について報告し、その後、シンポジウムを行いました。コーディネータは児嶋芳郎さん(立正大)、シンポジストは、田中理知さん(毎日新聞記者)、角田信子さん(特別支援学校教員)、高橋智さん(日大)で、それぞれから発言していただきました。
田中さんは、「取材を通して、文科省が公表する教室不足調査結果が実態を表していないのではないかと感じた」と指摘しました。角田さんは、「設置基準がないとこういうことが起きる」ということを具体例を示しながら話し、だからこそ「設置基準の中身が大事」と訴えました。高橋さんは、特別支援学校の設置基準が作られてこなかった背景に障害児教育の軽視があることを指摘した上で、設置基準策定にあたって大事にすべき視点を述べました。さらに北欧の充実した障害児学校の写真を示しながら、「諸外国の状況も参考にしながら、子どものためになる設置基準策定を」と呼びかけました。
参加者からは、「子どもの学校での事故を通して教育条件を整えることの大切さを身をもって感じた」「すべての子どもに目が行き届く小規模の学校が望ましい」「教育条件の悪さが教育内容の質も下げる」等の発言がありました。
最後に児嶋さんが「単に学校が増えればいいのでなく、どういう学校をつくるかが大事。だから、設置基準の中身が大事。そして、設置基準ができれば解決ではなく、その後の改善も大切。小学校・中学校の設置基準は見直されていないが、特別支援学校の設置基準は見直せるものにすべき。また、当事者参加は設置基準策定においても大事。これまで学校の現場の工夫で乗り切ってきた。今は先生方の工夫でなんとかる事態ではなくなっている。現場の工夫に転嫁してはいけない。その制度的基盤として設置基準が必要」とまとめの発言をしました。
参加した方々からは、「中身の濃いシンポジウムだった」「設置基準の重要性を改めて感じた」「自分の地域でも運動を広げていきたい」などの感想が寄せられました。