全教は3月11日に春闘要求文科省交渉を行いました。冒頭のあいさつで檀原毅也中央執行委員長は、文科省が教職員不足・長時間労働に関する調査を公表したことについては、問題解消に向けたとりくみとして評価するものの実態はさらに深刻であると指摘し、政策立案段階から現場の教職員・教職員組合の声を聞き、共に議論する場の設置の重要性や、そのためにもILO勧告に基づく共同専門家委員会の最終報告を踏まえ、本交渉とは別に全教との協議の場を設けることを強く求めました。

文科省との交渉内容は以下の通りです。
○教職員の長時間過密労働の解消に向け、教育活動に必要な仕事が基本的に勤務時間内に終了できるよう、持ち授業時数の上限設定(当面、小学校20時間、中学校18時間、高校15時間、特別支援学校小学部20時間、中学部18時間、高等部15時間)を設けること
(文科省)文部科学省では専門性の高い教科指導を行い、子どもたちへの教育の質の向上に図るとともに、教師の持ち授業時数の軽減にも資する教科担任制について、小学校高学年に加え、中学年においても実施できるよう加配定数を改善し、持ち授業時数の軽減を図っている。令和4年度学校教員統計調査によると、授業担任教諭の週あたり持ち授業時数は、小学校で24.1コマ、中学校で17.9コマ、高等学校で15.4コマ、特別支援学校で20.9コマ。一方、令和4年度教員勤務実態調査によれば、教師が受け持つ児童・生徒数が少ない場合は、持ち授業時数は多いものの在校等時間は短く、教師が受け持つ児童生徒数が多い場合は、持ち授業時数は少なくても逆に在校等時間が長い傾向にあることがわかっており、持ち授業時数のみで教師の勤務負担軽減を図ることは十分でないといった課題があると認識している。そのため、文部科学省としては、国として一律に教師の持ち授業時数の上限を設けるのではなく、教育委員会や学校の実態に応じて、特定の教師に過度な負担が生じないよう、教科担任制のための定数の活用等により、持ち授業時数の多い教師について時数を軽減すること、給特法に基づく指針に即して業務の見直しや精選を行うこと等を通じて、学校の働き方改革の一層の加速化を推進していく。
とはいうものの、持ち授業時数が多いと、なかなか授業準備や勤務管理ができないということはつながっていて、時間外在校等時間も増えてしまうことになるので、できるだけ負担軽減というところは我々も思っており、今回の定数改善を3年間計画的に行っていくというころをお示ししているところである。
○労働基準法に基づいた休憩時間確保が遵守されるため具体的な措置を講ずること
(文科省)校長等には、労働基準法で定める休憩時間を与えることが義務付けられており、給特法に基づく指針等においても、休憩時間の確保に関する労働基準法の規定の遵守について求めている。文科省としては、教師が休憩を確保できるよう、教育委員会等に対して、例えば、授業を担当していない時間に休憩時間を割り振ること、担任外の教師も含めて給食指導を輪番制にしたり、教員業務支援員に休み時間の児童・生徒の見守りを担ってもらったりするなどの取り組みを進めるよう周知をしている。教師の皆さんが休憩を取れるようにするためにも、学校における働き方改革のさらなる推進、そして、教職員定数の改善、学校の指導運営体制のさらなる充実など、総合的な取り組みを進めていく。
○加配による単年度の教職員定数の改善ではなく、乗ずる数・除する数の改善等により義務標準法・高校標準法を抜本的に改正すること
(文科省)乗ずる数の在り方も含めて、今後の中長期的な学校における指導・運営体制の整備の在り方について、令和8年度政府予算案に盛り込まれた新たな定数改善計画の進捗や、働き方改革の取り組み状況、また現在、中央教育審議会で議論が進められている教員養成のあり方や次期学習指導要領に関する議論の状況等を踏まえ、幅広く検討を行っていく。
繰り返しになるが、現時点では、少なくとも新たな定数改善計画を踏まえて、しっかり3年間やっていくということが大前提。それから、毎年の調査で働き方改革の取り組み状況をしっかり把握していく。それから、中央教育審議会での検討状況を注視しながら、どういう体制が必要なのかという点から広く検討させていただきたい。検討していくにあたっては、皆さんを含めて、いろいろなご意見を踏まえながらしっかり検討していくことが当然のことだと思っている。
○全教がCEARTに提出した長時間過密労働の解消にかかわる申し立てについて、教員の地位勧告にもとづいた誠実な協議・交渉に応じること
(文科省)教職調整額を支給する現在の仕組みが、適切な手当のない過度の長時間勤務につながっていること、働き方改革に関する文科省の取り組みは教員の時間外労働を削減できていないことなどを提起されたものと承知している。学校における働き方改革については、給特法に基づく指針に、教師の時間外在校等時間の上限を示し、その縮減に取り組んでいる。近年、教員の時間外在校等時間は減少傾向にあるが、依然として時間外在校等時間の長い教師が多いという実態があり、働き方改革を一層推進していく必要があると認識をしている。昨年6月に成立した改正給特法では、政府として令和11年度までに時間外在校等時間を平均30時間程度に削減という目標が規定されたところであり、その達成に向けて引き続き給特法に基づく指針に即した業務の精選、教職員定数の改善や、支援スタッフの配置充実等に係る必要な予算の確保、働き方改革に係る計画の作成等に取り組む教育委員会への伴走支援などに取り組んでいきたい。
(全教)教科担任制にすればいいという発想ではなくて、クラスサイズも小さくするし、持ちコマのことも上限設定をきちんと決めて、遵守できるような体制を作っていただきたい。全教として乗ずる数の改善を要望したのは今回が初めてです。乗ずる数をきちんとやっていかないと、要するに担任外の人が増えないわけです。乗ずる数を含めた幅広い検討というご回答もいただきましたので、ぜひこの幅広い検討の中で乗ずる数を見直すことによって、教職員がやっぱり増えていくんだという、そこのところをご理解いただきたい。
給食の輪番制とか、担当していないところが本当に休憩時間になるのかというところが、本当に現場の要求と実際に合っているのかという、現場の声を聞いていただきたいということ、また、「教育委員会の責任」「学校長の責任」っていうことになると、その丸投げが虚偽の働き方改革にしてしまうのではないか、時短ハラスメントとか虚偽打刻とか、そういうことが起こる可能性を私たち大変危惧しています。
先ほど現場の実感がとても大事だというお話もいただきましたので、私たち労働組合の声も聞いていただくということを前提にして、是非一緒に協議しながら、教職員のため、それから子どもたちのために改善できるところを、一緒に考えていただけるとありがたいと思っております。
<今回の交渉の成果>
(1)持ち授業時数の上限設定について、文科省としても「持ち授業時数が多いと『時間外在校等時間』増につながるため、負担軽減が必要」との認識が示された。
(2)乗ずる数・除する数の改正について、「新たな定数改善計画を踏まえ、定数改善をしっかりと進め、広く検討したい」との認識が示された。
(3)休憩時間の確保について、「校長等に、労働基準法で定める休憩時間を与えることが義務づけられており、給特法に基づく指針等においても休憩時間の確保に関する労働基準法の規定の遵守について求めている」との回答があった。
(4)CEART勧告に基づく協議・交渉の場の設定・促進について、改めて強く要望した。