『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年4月号 3月20日発行〉

【特集】「せんせい」になったあなたへ2024

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2014春闘要求にかかわる文科省交渉 「全教の調査結果も参考にして検討を進めたい」

 全教は、国民春闘共闘が設定した集中回答日の3月12日、春闘要求書にもとづく文部科学省交渉をおこない、教職員の長時間過密労働の解消、雇用と年金の接続の保障、勤務実態に見合った適正な教員賃金水準の確保などを求めました。交渉に先立ち、北村委員長から春闘要求書の手交とともに、全教「勤務実態調2012のまとめ(最終報告)」が池田財務課長に手渡されました。



 冒頭、北村委員長があいさつに立ち、教職員の長時間過密労働の実態を解消することは急務であり、教職員定数増がなければ根本的な解決にならないことを強調しました。また、給与特例法の地方への強制が行われ、さらに公務員に対する恒久的な賃下げを政府として人事院に求めているが、様々な困難に向き合っている教職員に対し、それに相応しい賃金改善をこそすべきであると訴えました。

 続いて、初中局財務課長から予算案の概括的な説明と教職員定数、教職員給与にかかわる回答がありました。回答では、「財務当局から給与を一般職並みにすることと定数の削減を求められ、給与については死守したものの定数を減らされることとなった」「多忙化の問題や、教育上の課題が増えていることも承知している」「今年夏の概算要求期に向け、7カ年計画の考え方を引き続き持ちながら、さらに教職員の後押しができるように考えたい」としました。

 その後、重点要求にかかわってやりとりを行いました。

 教職員の長時間過密労働の解消について、文科省として教職員の指導体制の充実が必要だとの認識を示した上で、文科省から各県への調査報告、教育委員会から各学校への調査報告の縮減をさらにすすめるなどして、子どもの学びを支援するとりくみの充実、子どもと向き合う時間の確保に努力したいと表明しました。これに対し米田書記次長は、根本的な解決のための教職員定数増に加えて、通常業務だけで法定労働時間を超過している実態を追求し、授業時間数の上限設定など具体策を求めました。池田財務課長は「みなさんと同じ問題意識を持っている。全教の勤務実態調査も参考にさせて頂きながら検討したい」と回答しました。

 雇用と年金の接続に関して、定数外配置や短時間勤務などの条件整備を求めたことに対し、「地方公務員法に基づき適切に対処する」よう通知を出し、職員の個別の事情を踏まえて短時間勤務も可能とするなど促していると答えました。

 「給与制度の総合的見直し」による給与抑制をやめ、人材確保法の堅持、適正な教員賃金水準の確保を求めたことに対し、26年度予算編成に際して財政当局から引き下げを要請されたが、これ以上の引き下げは人材確保法の主旨に反し、現場教員の指揮を著しく低下させると主張したため、引き下げは行わないとなったとし、今後とも人材確保法の教員給与優遇措置の基本を維持しながらメリハリのある教育給与の確立をめざしたいとしました。これについて今谷書記長から、平均でも過労死ラインを超えている教職員の勤務実態を見れば、「メリハリのある給与」などは止めるべきだと強く主張しました。

 臨時教職員の、年度末、年度当初に設定されている雇用の空白期間を撤廃するよう求めたのに対し、空白期間を設けるか設けないか、その日数をどうするかは任命権者である教育委員会が判断すべきもので、年休の繰越も実態に応じて判断してもらう、と無責任な回答でした。これに対し今谷書記長は、任命権者の責任としているが、すでに関係当局から明快な見解が出されており、全国的な解決のためのイニシアチブを文科省が発揮することこそ求められており、「空白を設けることに根拠はない」と追求しました。

 「セクハラ防止指針」に沿った施策を行うことと、文科省として「パワハラ防止指針」を定めること、また任命権者に「パワハラ防止指針」の策定を促すよう求めたのに対し、服務規程の見直しなど適切な配慮を行うよう促す通知を発出していると回答しました。

 最後に北村委員長から、教育委員会の独立性担保の問題や、父母・地域から声が直接届くシステムの構築などの観点から、現在進められている地教行法の改悪は絶対に認められないと強調しました。

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