『クレスコ』

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クレスコ

〈2024年4月号 3月20日発行〉

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教員免許更新制廃止と制度改善求め文科省交渉



 2012年11月28日、全教は、教員免許更新制の廃止と制度改善を求めて文科省交渉を行いました。交渉には、今谷賢二書記長、得丸浩一教文局長、中村尚史書記次長、土方功情宣部長、坂本次男日高教中央執行副委員長、大山圭湖都教組副委員長、川原泰寛都教組書記長の7名が参加しました。
 文科省からは、初中局教職員課更新係の大野照子係長が対応しました。

 更新制の廃止要求については、「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上策について」の中教審答申を説明しながら、「10年研とのあり方も含め検討している、(更新講習の)規模、質など必要な見直しを運用の検討も含めておこなう」と現段階での検討方向を示すにとどまりました。
 「廃止」までの期間の制度改善要求として、修了確認申請の不備による免許失効がないよう指導の徹底を求めた件については、「教員免許状は、個人の免許」としながらも、「事務連絡(10月29日)で示したような内容について、免許更新制に係る失効者を出さないように免許管理者、任命権者の免許管理がきちんと行われるように文科省としても責任をもって周知徹底したい」と回答しました。
 更新講習修了者で失効となった者を臨時免許状での身分保障や地教行法47条の2の運用で地方公務員の身分を失わないよう求めたことについては、「教育職員免許法5条6項を適用して臨時免許状を発行することや特別免許状での対応や事務職員として任用するなどは現行法でも可能で、任用権限者の判断である」と回答しました。
 この後、東京から、「東京の失効者の中には、更新講習を修了していたにもかかわらず、学校長から『手続きの必要がない』と言われ、そのままにしていたら失効した人がいる。こうした場合は、本人に責任がないのではないか。救済策を講じるべきだ」と強く求めました。指摘した事例に正面からの回答は行われませんでしたが、「免許状については手続きをすればすぐにだせる、あとの任用が問題になっている、臨免でつなぐとか、事務職員でつなぐことは現行制度でできる、あとは任命権者としてどうされるかだ」と述べ、「個別の事例について、都道府県教委から照会があった場合には、そのように回答している」としました。また、多くの県では当局がていねいに管理職を通じて説明することで「うっかり失効」を防いでいる。しかし、中にはそうしたていねいな対応をしていない県もある。「うっかり失効」を防ぐために文科省としても各県をきちんと指導すべきとの指摘もし、今後の対応を求めました。
 交渉では、多くの失効、失職者が非正規教員であることを重視し、「非正規の方々への周知やとりくみが十分でないのではないか」と指摘すると、「指摘を受け止めて、非正規の方々への周知、徹底にウエイトをかけていきたい」と述べました。また、「来年度は教育職員免許法の付則にある5年後の見直しの年度となる。現在どういう方向で検討されているのか」との問いには、「法律の規定に沿って検討をしている」との回答にとどまりました。
 交渉では、「免許は個人の責任」とする文科省の姿勢について、「終身免許状を一方的に期限付きに変え、講習の受講と煩瑣な手続きまで義務付けたために起きていること」と厳しく批判し、「受講者の7割、8割がこの制度で教育はよくならないと答えるような制度は一日も早く廃止すべきだ」と主張し、交渉を終えました。
 今後、引き続き制度廃止を要求するとりくみを強めるとともに、各県の教育委員会に対して、失効者が出ないよう本人だけの問題にせず、ていねいな対応を求めるなどのとりくみを進めることが重要となっています。
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