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〈2024年4月号 3月20日発行〉

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【要請】『全教2007年春闘要求書』

 全教は、去る2月10日から12日に第24回定期大会を開催し、2007年春闘方針とともに、2007年春闘要求を決定。4月12日、文科省に対して春闘要求書を提出しました。


2007年 4月12日

 
文部科学大臣 伊吹 文明 様  

全日本教職員組合
中央執行委員長 米浦 正
全教2007年春闘要求書


 貴職のご尽力に敬意を表します。
 昨年末の教育基本法の「改定」は、教育に直接たずさわる関係者として、大変残念な結果といわざるを得ません。日本国憲法は、第98条で、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」とし、続く第99条において「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」
と規定しています。今後とも文部科学大臣をはじめとした省職員のみなさんが、日本国憲法を誠実に尊重・擁護されるよう、まず、要請いたします。
 さて、積年の管理と競争の教育政策が、「いじめ」「不登校」「自殺」などの重大な要因となって子どもたちに深刻な影響を及ぼしています。さらには、日本社会と政治が解決を求められている「貧困と格差拡大」の実態は、子どもたちをとりまく生活環境をますます悪化させ、経済的理由による子どもたちの学ぶ権利を奪われる事態さえ生じており、「貧困と格差拡大」にともなう課題解決のために、所管官庁としての十分な役割発揮が求められているところです。
 また、文部科学省の調査結果からも明らかなように、教員の長時間・過密・複雑な勤務の実態の解消も喫緊の課題です。定数増を基本に、教職員の勤務実態にふさわしい総人件費の確保をはかり、子どもたちが学ぶ環境と条件整備を行う上での、所管官庁としての役割は重要なものがあります。
 以下、春闘期における私たちの切実な要求を取りまとめました。これらの要求は、わたしたち教職員の要求であるとともに、子どもたち、さらには父母の要求でもあります。
 つきましては、日本の教育の充実・発展と、教職員の適正待遇に責任を負う貴職におかれては、憲法の諸原則に則り、生かす立場にたって、誠実な対応をお願いいたしますとともに、下記の要求について実現をはかられるよう求めます。
 

  
Ⅰ.教育基本法及び関連する問題について 
 
 日本国憲法の原則に反する改悪教育基本法の具体化はおこなわず、憲法原則を踏まえた教育行政をすすめること。憲法原則に反する教育関連法案の国会提出はおこなわないこと。
 
 
Ⅱ.子どもたちの就・修学と、卒業生の就職を保障するために 
 
(1)子どもたちの学ぶ権利を保障すること。
① 高校、大学の漸進的無償化を定めた国際人権A規約第13条2項(b)中等教育無償、(c)高等教育無償の「保留」を撤回すること。
② 準要保護児童生徒の就学援助金の国庫負担補助を復活すること。また、就学援助金と就学奨励費の支給範囲の拡大と単価の大幅引き上げを行うこと。
③ 授業料の減免措置を拡大し、授業料の延滞金制度を廃止すること。
④ 私立学校における授業料減免事業等支援特別措置を拡大すること。
⑤ 授業料・給食費・学校納付金などの滞納家庭に対する緊急の公的な援助措置を講じること。また、未納家庭への画一的な対応は行わないこと。
⑥ 公的奨学金制度の教育ローン化をやめ、これまでの奨学金制度の理念や役割を継続し、無利子奨学金の枠を拡充するとともに、返還義務のない給与制を創設すること。とりわけ、高校生の奨学金制度を拡充するため、特別な予算措置を行うこと。
 
(2)卒業生の就職を保障するため、新規卒業者の就職難の解消のための施策を政府・関係省庁、経済界に働きかけるとともに、未就職者への支援をはかること。
 
 
Ⅲ、教職員の賃金改善について 
 
1.教員の給与制度等の改変にあたって 
① 人材確保法を堅持し、義務教育等教員特別手当を廃止しないこと。文科省実施の教員勤務実態調査に見合った、適正な教員賃金水準を維持すること。また、教職員の職種間における賃金格差を拡大しないこと。
② 中央人事行政機関である人事院に対し、「人事行政の公正の確保及び職員の利益保護」の立場で教職員の賃金・労働条件の改善にむけて必要な役割を果たすよう要請すること。
③ 全人連に対し、教員モデル給料表の作成にあたっては、生計費と勤務実態、ならびに教職の専門性を担保した賃金水準となるよう、所管官庁として助言・援助すること。
④ 教職員の勤務実態調査をふまえるとともに、教職調整額への格差の持ち込みをせず、給特法を改正し、労働基準法37条にもとづく時間外勤務手当、休日給を支給すること。
⑤ 「副校長」(仮称)「主幹」「指導教諭」の新設、級増設など格差を拡大する差別的賃金制度の導入は行わないこと。また、ベテラン教職員の処遇改善のため、客観的基準による上位級への格付制度を導入すること。
⑥ 急増する臨時教職員の権利確立のため、総合的・抜本的な検討を行うこと。
 
2.教職員賃金などの改善について 
 以下の要求について、所管官庁として実現に努力すること。
 
(1)基本賃金の引き上げ
① 公務員が職務に専念できる全国共通の給与水準を確保し、地域間の給与格差を是正する給与制度に改善すること。
② 教職員の賃金を月額平均1万6000円、また誰でも月額1万円以上引き上げること。
③ 学校職場に働くすべての臨時・非常勤職員の時間給を1000円以上に引き上げること。また時間講師の授業時間単価を3000円以上に引き上げること。
④ 学校職場に働くすべての労働者の最低賃金を月額相当15万円(時間給1000円、日額7400円)以上とすること。
 
(2)賃金改善にあたっては、初任給の政策的な改善とともに、各年齢段階に応じた生計費の増額、教職員としての経験の蓄積や専門能力の向上を十分に考慮し、中堅・高年齢者の賃金体系の維持・改善をはかること。
 
(3)公立学校教員給与の国準拠制が廃止されたもとでも、公教育におけるナショナルミニマム確保と「同一労働同一賃金」の原則にもとづき、全国共通の教員賃金水準を維持すること。
 
(4)高等学校教員給料表、小中学校教員給料表の抜本的改善の中で格差を是正すること。
 
(5)教職員の「給料表」の適用および「給料表」の格付を次のように改善すること。
① 給料表の適用改善
 「実習助手」、寄宿舎指導員 高等学校教育職給料表 2級
 現業職員 行政職(一)表
 幼稚園教員 小中学校教育職給料表 2級
 栄養職員 医療職(二)表
 臨時教員(常勤講師) 教育職給料表 2級
② 昇級(ワタリ)制度の改善
○教諭 …教頭への任用年齢などを考慮して、全員を対象に、かつ年齢・経年などの客観的な基準にもとづき教育職給料表3級への昇級を行うこと。
○「実習助手」(図書館職員含む)、寄宿舎指導員 …免許所有者はただちに、未所有者は大卒6年、高卒経験年数10年、短大・専専卒経験年数8年で高等学校教育職給料表2級への昇級を行うこと。
○栄養教諭 …任用がえにともなう教育職給料表への切り替えについては、再計算の上、格付すること。
○事務職員(図書館職員含む) …客観的基準にもとづき、すべての職員を対象に行政職(一)表6級まで昇級させること。
現業職員、栄養職員 …事務職員に準じて昇級を実現すること。
 
(6)中途採用者の初任給決定基準については、経験年数換算表の改善及び「初号制限」の撤廃等を行うこと。また、育児休業取得者の給与上の不合理を是正するため、休職期間等換算表の改善を行うこと。
 
(7)一時金の改善について
① 一時金については、支給月数の引き上げをはかり、期末手当に一本化すること。
② 一時金における「役職別傾斜支給」、「管理職加算」を強化しないこと。
 
(8)諸手当に関し、次の改善を行うこと。
① 定時制・通信制手当、産業教育振興手当など教員諸手当の見直し改悪を行わないこと。
② 地域手当について、生計費、物価動向を重視し、格差の縮小、支給地域の拡大を行うこと。
③ 配偶者手当の削減を行わず、扶養手当の支給範囲、支給基準、支給額、女性に対する不利益取り扱いを改善すること。
④ 住居手当の支給内容を改善し、支給額を引き上げること。
⑤ 寒冷地手当について、寒冷積雪地域の生活実態にもとづいて改善すること。
⑥ 部活動指導をはじめとする教員特殊業務手当を大幅に引き上げること。特殊勤務手当について、実態を踏まえて支給額の改善を行うこと。
⑦ 部活動指導などの日曜・休日出勤に対する交通費実費を支給すること。
⑧ 時間外勤務手当の支給割合を150%に、夜勤手当及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。また、宿日直手当の改善を行うこと。
⑨ へき地手当を「へき地教育振興法」の精神で改善すること。
⑩ 昼・夜間、及び他校間兼務者の兼務手当を大幅に引き上げること。
⑪ 主任手当の保健主事への適用拡大を行わず、主任手当制度を廃止すること。
 
(9)障害児学校等に働く教職員の仕事の実態にみあう「俸給の調整額」を堅持すること。
 
(10)年金一元化に伴う人事院の意見申出を尊重し、退職手当を改善すること。
 
3.新たな「成績主義」強化で教職員への賃金・人事の差別的取り扱いを行わないこと。 
(1)労使合意にもとづかない「査定昇給」の実効化、「勤勉手当」の格差拡大を行わないこと。導入する場合でも、結果の本人開示、苦情処理等の仕組みを確立すること。
 
(2)自己申告、相対評価、賃金・処遇への反映などを内容とする教職員評価制度(人事考課制度)を導入しないこと。
 
(3)管理職員特別勤務手当、管理職手当の増額など管理職員の賃金優遇をやめること。
 
(4)ILO・ユネスコ「教員の地位勧告」に係る共同専門家委員会(CEART)「勧告」にもとづき、「指導力不足教員」政策と新しい教員評価制度のあり方を、見直し改善すること。
 
 
Ⅳ.教職員の労働時間、休日、休暇の改善について 
 
(1)労働時間の短縮についての要求
① 教職員の所定内労働時間1日8時間、週40時間を遵守するとともに、さらに1日7時間・週35時間制をめざすこと。当面、06年の人事院調査結果を踏まえ、1日7時間45分に短縮すること。
② 年休など各種有給休暇の完全取得を保障すること。そのための「年間計画」を各学校で策定・実施することを奨励すること。
③ 行政職員などの超過勤務の上限は1日2時間、月20時間、年120時間以内とすること。休日・深夜労働についても上限規制を行うこと。
 
(2)教員の時間外労働の解消などにかかわる要求
① 文部科学省の責任で行った教職員の勤務実態調査の結果にもとづき、超過勤務を解消するため、必要な教職員定数増を行うこと。また「1年間の変形労働時間制」は導入しないこと。
② 教育活動に必要な仕事は基本的には勤務時間内に終了できるよう、教職員の増員をはじめとする条件整備を行うこと。
③ 教員の時間外労働については、臨時・緊急の限定4項目以外の時間外労働は違法であり、許されないとの給特法の趣旨をすべての学校に徹底すること。時間外勤務については、「振替」などで調整すること。
④ 週休日などにおける過度な部活動指導について適正化を指導すること。
⑤ 休息時間が廃止になった下でも「従来の小休止や生理的欲求は規制しない」など、元気回復のための措置を認めること。休憩時間の確保のため、人的・物的条件の整備を行うこと。
⑥ 教職員の勤務時間管理をすすめるため、文部科学省として発出した「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について」の内容をすべての学校職場に徹底するよう、各都道府県教育委員会への指導を強めること。
 
(3)各種休暇制度の拡充についての要求
① 介護休暇の取得期間を1年間とし、断続取得、同一疾病での再取得、事前申請手続きの緩和、要介護期間の制限撤廃、代替教職員の配置などの改善をおこなうこと。また、所得保障を拡充すること。
② 家族看護休暇制度を新設すること。当面、「子の看護休暇」制度を拡充し、18歳以下の子どもを対象に、予防接種、健康診断、疾病・けが治療などにあたれるようにすること。また学校・園行事参加などの子育て休暇を新設すること。
③ 育児のための短時間勤務制度の実施にあたっては、代替措置の確保など条件整備を行うこと。
④ 育児休業の無給規定を撤廃すること。当面、所得保障期間の延長と「手当金」支給水準改善など、所得保障措置を改善、拡充すること。また部分休業を有給とすること。代替は正規教職員で配置すること。
⑤ 育児時間を少なくとも1日120分にし、3歳児未満まで延長すること。
⑥ 母性保護のための休暇を保障し、拡充すること。産前産後休暇については各10週間とすること。
⑦ 更年期障害に対して、健康相談、通院保障、休暇、労働軽減などの措置を設けること。
⑧ 教職員の負傷または疾病のための治療、休養にあたっては、特別休暇による病気休暇の取得を保障し、年次有給休暇の取得を強要しないこと。
⑨ リフレッシュ休暇や福利・厚生に関わる休暇を制度化すること。ボランティア休暇の拡充をはかること。
⑩ 年次有給休暇の日数を増やすとともに、夏季休暇の日数を1週間以上に延長すること。
⑪ 非常勤教職員の休暇等について、常勤教職員に準じた制度とすること。
 
 
Ⅴ.教職員のいのちと健康を守る施策等について 
 
① 教職員のいのちと健康を守る施策の充実をはかること。とくに長時間労働や過重労働による健康障害防止のための具体的措置を示すこと。
② 教職員の精神性疾患の増加に対し、「厚生労働省メンタルへルス指針」を踏まえた文部科学省指針を策定するとともに、教育行政施策の点検など、積極的で有効な施策を講ずること。
③ 全国的な教職員の健康実態調査を実施し、文部科学省内に労安法を担当する部署を新設すること。また臨時教職員も含めて50人以上規模校のすべてに衛生管理者・産業医の選任・配置をおこない、50人未満規模校には衛生推進委員を配置すること。
④ すべての都道府県、市区町村段階で教職員を対象とする安全衛生管理規則の制定と安全衛生委員会の設置を文部科学省の責任で促進すること。とくに教職員の日常的な健康相談、メンタルヘルス相談に対応するため、産業医の配置のための予算を確保すること。
⑤ 教職員の健康診断の充実、男女別トイレ・更衣室・休養室の設置、職場環境の改善など労働安全衛生法にもとづく健康・安全の施策と予防措置を行うこと。
⑥ 妊娠教職員、病気加療中、休職明けの教職員などの労働軽減を行い、必要な代替教職員の配置を確保すること。
⑦ 障害児学校を腰痛多発職場として認定し、労働条件を改善すること。
⑧ 公立学校共済組合理事および運営審議会委員を公正に選出すること。

 
Ⅵ.国民のための民主的な公務員制度の確立と労働基本権の回復について 
 
 下記の要求実現のために、文部科学省として、関係機関にはたらきかけること。
① ILO勧告にもとづく民主的な公務員制度の確立に向けて、国民的な議論を保障するとともに、専門調査会に全労連の代表参加を認め、労使対等の交渉・協議と合意を十分に尊重すること。労使合意を抜きにした「改革法案」の国会提出は行わないこと。
② 特権的な公務員制度や、「天下り」を廃止すること。
③ 公務員労働者の労働基本権を全面的に回復すること。その際、岡山高教組及び全労連の提訴に係るILOの勧告をふまえ、「国の行政に直接関与しない公務員(教員を含む)への団体交渉権およびストライキ権の付与」について、速やかに具体化すること。また、人事院・人事委員会勧告制度を廃止し、勤務条件の決定について、公務員労働組合との交渉制度を確立すること。また、勤務条件をめぐって発生する紛争は、交渉及び調停・仲裁制度によって解決すること。
④ 政治的行為の制限等を内容とする地方公務員法や教特法の改悪を行わないこと。また、選挙に際しては、教職員の国民としての権利を守り、地位利用にならない個人的な政治活動まで一律禁止するような通知を学校現場に出さないこと。
⑤ 「ながら条例」「職専免」等について、組合活動を忌避する改悪の「指導」を行わないこと。
 
 
Ⅶ.憲法に立脚した民主教育を確立するために 
 
① 「教育再生会議」報告に追随することなく、「教育の振興及び生涯学習の推進を中核とした豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成」(文科省設置法第3条)を任務とする省庁にふさわしく、子どもと国民の立場にたち、自立した教育行政をすすめること。
② 「全国学力・学習状況調査」の実施は、子どもたちへのいっそうの競争強化と序列化、学校間格差づくりと学校間競争の激化を引き起こすものであり、中止すること。
③ 「全国学力・学習状況調査」の実施において、子どもたちに組、出席番号、氏名の記名を求めることは、個人情報保護に照らして、大問題であり、重大な人権侵害を引き起こすおそれが強いものである。また、実施を民間企業に丸投げしていることから、民間企業が日本全国の小学校6年生と中学校3年生の子どもの個人情報をすべて独占することになり、これも重大問題である。子どもたちの個人情報保護の観点から、直ちに是正すること。
④ 「教員免許更新制」を導入するための教育職員免許法改悪法案を国会に提出しないこと。
⑤ 改悪教育基本法第2条に即した教育の目標を学校種別に位置づけることや「副校長」「主幹」などの「新たな職」を学校教育法に位置づけるための学校教育法改悪法案を国会に提出しないこと。
⑥ 地方教育行政の自立性を蹂躙し、国家の介入を強める地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改悪案を国会に提出しないこと。
⑦ 教育行政による「教員評価」「学校評価」押しつけを中止すること。摘発・排除を目的とする「指導力不足教員」政策を中止すること。
⑧ 学習指導要領は「大綱的基準」とし、子どもたちに基礎学力を身につけさせるものへと抜本的に見直すこと。また、「教育再生会議」報告の授業時数10%増に追随することなく、授業時数等の検討にあたっては、現場の意見を聞くことをはじめ、教育課程全体にかかわる全面的な検討の中に位置づけて、発達学、教育学等の学問的裏付けをもった研究、検討を行うこと。
⑨ 学校への「日の丸・君が代」の押しつけを行わないこと。憲法第19条及び第165臨時国会における塩崎官房長官の答弁「それ(日の丸・君が代を批判する世界観、主義主張を持つものの思想や良心の自由は憲法上保護されなければならない)は、思想信条の自由であります」「(日の丸・君が代を批判する児童生徒も)思想信条は自由であります」などにもとづき、子ども、父母、教職員の思想・信条・内心の自由を保障すること。
⑩ 「既存の人的・物的資源の再配分」による「特別支援教育」の推進という基本方針を見直し、必要な条件整備をすすめること。
⑪ 教育内容への支配・統制をすすめる教科書検定制度を抜本的に見直すこと。今後、日本の侵略の事実をおおいかくす教科書を教育現場に持ち込ませないこと。
⑫ 高校教育「多様化」、高校入試制度「多様化・多元化」政策を中止すること。
⑬ 「10年経験者研修」、初任者研修については、そのあり方を抜本的に見直すこと。長期休業中も含め、教職員の研修権を憲法第23条が定める学問の自由、第26条が定める国民の教育権、教特法にもとづいて保障すること。
⑭ 「心のノート」押しつけを行わないこと。また、使用状況調査などは行わないこと。
⑮ 学校教育への株式会社参入は、教育の目的の変質という重大問題をもち、公教育の縮小・変質をもたらすものであり、撤回すること。また、学校の管理運営の民間委託は、教育の公共性を根底から崩すものであり、行わないこと。
⑯ 教育行政による教育に対するいっそうの支配・介入を引き起こす危険性を持つ「学校運営協議会」を押しつけないこと。
 
 
Ⅷ.教育条件の整備について 
 
(1)教育の機会均等を財政面から支える根幹の制度である義務教育費国庫負担制度の維持・拡充をはかり、国庫負担率を2分の1に復活すること。
 
(2)国の責任で30人学級を実施すること。
 
(3)教職員定数を削減せず、義務制第8次、高校第7次の定数改善計画を策定し、教職員定数を改善すること。
 
(4)教育活動に必要な教職員は正規採用を基本とし、定数内の臨時教職員の配置は行わないこと。「定数崩し」による臨時教職員の増大を行わないこと。再任用制度については、定数外とし、別枠で配置すること。
 
(5)通常学級に在籍するLD等の子どもたちの特別な教育のため、全公立小中高校に教員を配置すること。そのための定数改善計画をつくること。
 
(6)「安全・安心な学校」のための条件整備を行うこと。
① 犯罪から子どもたちの安全を守るため、警備員等の職員の配置、地域の実態に応じたスクールバス運行等の条件整備をすすめること。
② 遅れている校舎・施設の耐震診断・耐震工事を早めるとともに、老朽化対策のための補修・改築を行うこと。
③ アスベストの完全除去にむけた抜本的な対応を行うこと。とりわけ、全国実態調査で「飛散の恐れ」があると判定された学校のアスベスト除去にむけた緊急な対応を行うこと。
 
(7)学校への配当予算の削減が行わないよう、必要な対応を行うこと。
 
(8)学校・地域の実情を無視した一方的な学校統廃合を行わないよう、必要な対応を行うこと。
 
(9)私学助成金を大幅に増額すること。経常費の2分の1助成を早期達成すること。
 
(10)学校給食などの民間委託・センター化を行わないこと。直営・自校方式の普及に努めるとともに、給食をおこなうすべての学校に栄養教諭・栄養職員を配置し、調理員を増員すること。
 
(11)学校事務のセンター化を行わないこと。
 
(12)スポーツ振興予算を増額するとともに、破綻している「サッカーくじ」を廃止すること。
 
 
Ⅸ.国民のくらしの向上と平和、民主主義の擁護について 
 
下記の要求の実現のために、文部科学省として、関係機関にはたらきかけること。 
 
(1)憲法改悪を行わず、憲法を生かした諸施策をすすめること。
 
(2)労働法制の改悪を行わず、労働基準法を改正し、時間外労働の上限規制や割増賃金の引き上げを行うこと。また、最低賃金法の抜本改正やパート労働法の改正で、賃金・労働条件の「均等待遇」をすすめること。
 
(3)増税、社会保障制度の改悪を行わないこと。
① 大企業・大金持ち優遇税制をやめ、庶民大増税や消費税率の引き上げを行わないこと。
② 改悪年金法にもとづく改悪実施を中止すること。基礎年金の国庫負担をただちに2分の1に増額するとともに、消費税によらない全額国庫負担の最低保障年金制度を確立すること。
③ 国民や高齢者への負担増をもたらす医療改悪を行わないこと。医療費の国庫負担について、共済・健保本人、家族入院の3割負担制度をやめ、2割にもどすこと。
④ 介護保険料引き上げに反対し、利用料の減免制度をつくること。
⑤ 生活保護の第改悪をやめ、国民の生存権を守ること。
 
(4)米軍基地の再編強化・自衛隊一体化計画を中止し、日米地位協定を抜本的に改定し、在日米軍基地の撤去をすすめること。
① 在日米軍基地周辺における住居環境や学習環境の悪化の実態を明らかにし、その改善につとめるとともに、米兵による事故・犯罪や、子どもたちの人権を侵害する事件の根絶をはかること。
② 国民の安全・安心した暮らしを守る立場に立ち、米軍への「思いやり予算」をやめ、軍事費の削減につとめること。
③ 憲法に違反する自衛隊の海外派兵を本来任務化せず、イラクからの航空自衛隊の早期撤退をはかること。
④ 防衛省や自衛隊による中・高校生への入隊の勧誘、職場体験学習や総合的な学習の時間などでの体験入隊など、学校教育への介入をやめさせること。
⑤ 障害者「自立」支援法は、応益負担の中止などの抜本的法改正を行うこと。
 
(5)福祉・教育を切り捨てる地方交付税の削減を行わないこと。また、自治体リストラや市町村合併を強要しないこと。
 
(6)政府の責任による食の安全対策を徹底すること。また、日本の農業と食糧をまもるために輸入を規制し、食糧自給率の向上をはかること。

                                              以上

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