『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年4月号 3月20日発行〉

【特集】「せんせい」になったあなたへ2024

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全教、北村中央執行委員長と今谷書記長が 総務省に対して地方公務員の労働基本権のあり方について意見表明

 総務省は、5月10日、全労連公務員制度改革闘争本部(以下、闘争本部)に対して、「地方公務員の労働基本権の在り方について意見を伺う場」を設けました。闘争本部からは、全教(北村中央執行委員長・今谷書記長・蟹澤書記次長)と自治労連が参加し、また、消防ネットワークの代表も出席しました。総務省側は、鈴木克昌総務副大臣、逢坂誠二総務大臣政務官が対応しました。



 冒頭、鈴木克昌総務副大臣は、「3月11日の地震・津波以来、奮闘を続けている全国の公務員のみなさんや教職員にもご苦労をいただいている。4月5日には国家公務員制度改革基本法にもとづき『全体像』が決定された。これにもとづいてお話を伺い、良い方向に持っていきたい。」と述べました。
 闘争本部を代表して、野村幸裕自治労連中央執行委員長が「全体像は、これまでの公務員制度改革をめぐる議論の到達点と受けとめるが、そもそも憲法は労働三権を保障しており、争議権もふくめた権利回復が必要だ。」と指摘し、具体的な論点については、猿橋均自治労連書記長が「国家公務員の制度としての労使関係と、地公の労使関係は従来から大きく違う。管理運営事項についても、労使間で議論し一致点にもとづいて議論することが住民の利益につながっている。労働組合からの当局に対するチェック機能も働いてきた。地公における課題として、従来の労使関係を狭めてはならないという観点で協議すべきだ。」と指摘しました。
 教職員課題については、今谷賢二全教書記長が「ILOユネスコの『教員の地位に関する勧告』では、子どもの成長と教育の発展のためにこそ教員の地位の保障がなされるべき、と明記され、その上で、『教員の給与と労働条件は、教員団体と教員の使用者の間の交渉過程を通じて決定されなければならない。』とされているわけで、国段階における中央交渉や協議が必要だ。また、都道府県における勤務条件決定に関する協約締結を前提にした時の『権限ある当局』を明確にすべきだ。とくに、市区町村学校の場合、給与は県費負担ということで都道府県教委が権限を持っているが、服務監督権限は市区町村教委ということになっている。さらに各学校の学校長にも勤務条件に関わる多くの権限が委譲されている。私たちは、条例事項にかかわる勤務条件については都道府県教委や知事部局との権限整理と交渉、条例に基づく範囲での市区町村における交渉、勤務時間や労働安全衛生などの具体化を中心とした職場における交渉がそれぞれ必要だと考えている。勤務条件決定についての交渉当事者の明確化を、今後の検討の中ですすめること」を強く要請しました。
 消防職員ネットワークからは、東日本大震災にあたっての緊急消防援助隊としての活動の紹介とともに、住民の安心・安全を守るためには労使対等の話し合いが必要で、そのためには団結権は不可欠だ、と訴えられました。
 最後に、北村佳久全教中央執行委員長から「今後、早期に、総務省を中心とした交渉・協議を開始されること。その際は、適宜、文科省が同席した場として設定されること」を強く要望するとともに、そうした場を設けることが4月5日に園田内閣府大臣政務官からも「文科省も含めて考えていかなければならないだろう。要望は、関係政務3役にしっかりと伝えたい」との見解が表明されたことを伝えました。
 あわせて、交渉・協議のあり方についても「今後の交渉にあたっては、政府の結論ありきで、これを組合に押しつける立場ではなく、いわゆる『自律的労使関係制度』を構築するにふさわしく、合意に至る交渉をおこなう立場からの対応」を強く要請しました。
 鈴木副大臣からは、「文科省の件について、経緯はよくわかった。(本日は)総務省を中心に場の設定をさせていただいたが、おっしゃるとおりだ。今後どうするか、意見を踏まえて考えていく。みなさんの長年の思い、何としても良い方向へというのは、私どもも基本的には同じ。」と述べました。

                                              以上

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