『クレスコ』

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〈2024年4月号 3月20日発行〉

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改憲手続き法、教育改悪3法案の廃案を! 改憲手続き法案・教育改悪3法案反対5・9中央行動を実施!【国会報告】

【国会報告】日本共産党 井上 哲士 参議院議員


 みなさんご苦労さまです。参議院の国会対策委員長を務め、文教科学委員会に所属しています井上哲です。いま衆議院の特別委員会で教育改悪3法案の審議の真最中なので石井郁子衆議院議員が報告すればいいのですが、今日は地方公聴会に行っておりますので、私の方からご報告をさせていただきたいと思います。
 
 まず、教育改悪3法案をめぐる動きです。
 今日、山形と福岡で地方公聴会を行っております。昨日の段階で、10日と11日に一般質疑、14日には富山市と松山市で地方公聴会を行うことまで、特別委員会の日程として合意されています。
 与党理事などは非公式な場では、「臨時国会の場での教育基本法の質疑並みの時間は取りたい」といっているようです。しかし、改悪教育基本法の衆議院での審議は乱暴な強行採決で打ち切られたわけで、もともと基準にならないし、改悪教育基本法の具体化である教育改悪3法案を廃案に追い込むという立場から、この何時間という話は論外です。しかし、現状としてはこういった状況になっています。
 
 連休中も含め、地域ではさまざまなたたかいがされてきました。
 いま教育改悪3法、改憲手続き法、そしてイラクへの派遣の延長、米軍再編の特措法、少年法、さらには共謀罪と一連の法律がまさに一体のものとして、安倍内閣がすすめる「美しい国」どころか、恐ろしい国づくりと一体のものだという姿がだんだんと国民の中に見えてきています。それにつれて、「この政治の暴走を許していいのだろうか」という声が広がっている。そうした中で、私たちはメーデーをたたかい、先日の憲法施行60年の日を迎え、連休明けの国会を迎えている、ここに大きな特徴があると思います。
 
 とりわけ憲法をめぐる問題で言いますと、連休中3日を前後して一連の世論調査がありました。例えば読売新聞の世論調査では、「9条を変えるべきでない」という声は2年連続で増え、56%と過半数を超えています。一連の世論調査の中でも、「改悪せず9条を守り抜く」という声が広がっています。運動を広げていく新しい条件の中で、私たちがたたかっているということがたいへん大事ではないかと思います。
 それは例えば憲法問題で言いますと、連休明けの7日に行われた地方公聴会の中でも色濃く反映しています。福岡では、与党推薦で公述に立った青年会議所の代表が、「改憲手続き法がこれほど広範な論点を持っているとは知らなかった。国民の中にぜんぜん浸透していない」と述べました。公明党の推薦の方も、「公務員も一般と同じようにすべき。規制すべきではない」という発言をしています。与党推薦の中から、〝このまま国民の声を聞かず暴走してもいいのか〟という声が出ざるを得ない状況が、いま国会の中で生まれてきているということです。
 しかし同時に、こういう一連の問題が国民の前に知れ渡る前に、とりわけ参議院議員選挙を前にして、「一気に決着をつけてしまいたい」という強行な姿勢に出ているということもたいへん重大です。
 例えば、連休前に衆議院の法務委員会で少年法改正案の強行採決が行われました。これは自民と民主の間で修正協議が現場でなされている最中に強行採決したわけです。これ事態、非常に異常なことです。そして、連休に入る前に更生保護法案という、これは最終的には全会一致で採決をされたのですが、委員会では強行採決をするという異常な事態がありました。いままでの強行採決というのは、重要法案について与野党で意見が割れて、与党がやるというパターンだったわけですが、まったくそうではないような法案にもかかわらず打ち切り動議を出して採決する。
 法務委員会での今後の共謀罪の審議などをねらったものということもありますが。とにかく問答無用。国民の声、野党の声を聞かずに一方的にすすめていく姿勢がいっそう強固になってきている状況があります。
 
 参議院の憲法調査特別委員会で言いますと、昨日の理事懇で決まっているのは、今日9日は一般質疑を行って、明日10日は参考人と公聴会を行うことになっています。与党は、「11日(金)にも委員会で採決。14日(月)午前中に本会議を開いて成立させたい」と水面下で民主党に打診しています。民主党も、「中央公聴会もなしに採決するなどけしからん」と言いつつも、「与党が強く出てくれば混乱は避け、付帯決議をつけて応じる」などということも水面下では言われています。与党の強行な姿勢に、民主党はたたかいきれないという事態が生まれてきています。
 こういう国会の状況を見据えて、国民的たたかいと世論を広げて国会を包囲して与党に迫ることと、そしてそれと妥協するような一部野党の動きにも厳しい声をあげていくことが後半国会で重要になってきています。
 
 また、与党にあせりをつくってきた大きな状況は、やはりいまの安倍政権誕生後の事態というものが全体像として国民の中に浸透しつつあるということだと思います。
 一つは、何よりもこの政権が改憲などによって、アメリカと一緒に海外で戦争する国づくりをすすめる政権だということが、安倍首相自身の発言で非常に分かりやすくなっています。
 小泉元首相は、憲法を変えることを、〝事実上軍隊である自衛隊の名前を「軍」に変えるだけなんだ、現実は変わらないんだ〟という説明を彼はずっとしてきたんです。安倍首相は、先日のアメリカに行った時もそうですけれど、アメリカと一緒に海外で血を流す、言わば「血の同盟」の強化、「戦後レジューム」を変えるといい、公然と戦争する国づくりへの方向を打ち出している。これがやはり国民の前に浸透しだしている。
 
 2つ目には、この内閣が侵略戦争を否定する靖国史観の靖国派で占められているということも国民の前に明らかになりつつあることです。いまの内閣の大半が、「国民会議」という右派団体を支援する国会議員懇談会のメンバーなわけです。松岡大臣とか柳沢大臣があれだけの失言をしても庇いたてるというのは、結局この人たちが「国民会議」のメンバーだからなんです。佐田行革担当大臣だけはあっさりと首を斬ったわけですけれど、あの人は「国民会議」のメンバーじゃないんです。それから大分の衛藤氏を、あれだけ反発があっても起用した。彼は「国民会議」のメンバーです。ですから、まさに靖国史観で固めた人たちを内閣や党の中でも重用し、やってきている。そういう姿が明らかになってきている。
 
 そして3つ目。国民の内心にまで踏み込んでいくという姿が非常に顕著になってきた。これはいま審議をされている教育改悪3法の中でもたいへん明らかです。
 例えば、地教行法の改悪案に、「国は教育委員会に是正要求などができる」というものが入っています。はじめは、「子どもたちの教育を受ける権利とか、生命が危ないというときにやるんだ」という説明をしていましたけれど、「この要求の中には『日の丸・君が代』も入るんだ」という答弁が出てまいりました。まさに、国家統制をしていくとの姿です。
 また昨日、教育再生会議が提言を出しました。その中で、例えば「できるだけ母乳で育てろ」とか、親の教育ということを打ち出しました。子育ての仕方から、学校教育のあり方から、政治の全体の体制から一色に染めていこうという、そういう内閣の危険な姿が一連のたたかいの中で浮き彫りになりつつある。だからこそ、国民の中にもいまの改憲手続き法などについてもいろんな不安の声が広がってきているというのが状況だと思います。
 こうした安倍政権の危険な姿をどれだけの規模とスピードで国民の中に広げ、そして国会を包囲するか、ここに後半国会のたたかいの勝負がかかっていると思います。
まずは改憲手続き法の与党がねらう強行姿勢に待ったをかけながら、教育改悪3法案についても、もっともっと国民の批判と運動の中で廃案にするためにがんばっていきたい。
 
 ただ一言申し上げたいのは。今の特別委員会のメンバーは教育基本法の時の委員会のメンバーとほぼ一緒なんですが、雑談の中で、「教育基本法の時にはたくさんFAXが来たけれども、今回はあまり来ませんね」ということを自民党の理事が言っています。
そういうことであれば悲鳴をあげるような、FAXやメールを集中し、運動を急速に広め、何としても廃案に追い込むために、国会内外でご一緒にがんばっていきたいと思っています。いっそうの奮闘をお互いに誓い合って報告とします。

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