『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年6月号 5月20日発行〉

【特集】外国ルーツの子どもたちに寄りそって

  • 全教共済
オピニオン

国や財界の求める「人材」育成でなく、すべての子どもたちが大切にされる教育を ~中央教育審議会答申について~

 全教は1月27日、2021年1月26日に中央教育審議会が発表した答申について、「国や財界の求める「人材」育成でなく、すべての子どもたちが大切にされる教育を~中央教育審議会答申について~」の書記長談話を発表しました。

 中央教育審議会は、文科省の諮問「新しい時代の初等中等教育の在り方について」を受け、2021年1月26日、答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」(以下、答申)を発表しました。

 今回の答申は、経産省や国・財界が、「Society5.0の実現に向けた改革」として、国や財界の求める「人材」育成と教育の市場化をねらい、AIやビッグデータなどを活用した「個別最適化された学び」や「教育のICT化」などの推進を求めるもとで、文科省が「Society5.0に向けた人材育成」を打ち出したことを受け諮問されたものです。もとより、教育の目的は「平和で民主的な国家及び社会の形成者」としての「人格の完成」(教育基本法第1条)であり、決して国や財界の示すSociety5.0など特定の社会像に貢献する「人材」を育成することではありません。

 全教書記長談話は、国の役割は、子どもたちの豊かな成長・発達を保障するために、その実態をふまえ、必要な条件整備をすすめることであることなどを指摘するとともに、競争主義的な施策こそあらため、子どもの実態を直視し、貧困と格差の拡大を是正し、子どもたちを包括的に保護する施策を拡充することが必要であることを求めています。

 また、答申が「個別最適な学び」を強調することは、競争的な社会や教育制度のもとで子どもたちをいっそう個別に競わせ、「孤立した学び」に陥ることが危惧されることを指摘するとともに、もとより、学びのあり方や「学力とは何か」などの探求は、広く現場教職員や関係者の専門性や実践を踏まえた自由な論議によっておこなわれるべきであり、中教審の論議のみによってまとめ、その考え方を現場に押しつけるべきではないことを訴えています。

 さらに、答申がすべての分野においてのICT化をすすめることを強調していることに対し、教育現場において、何のために、どのようにICTを活用するのかが不明なまま、「Society5.0時代にふさわしい学校の実現」としてGIGAスクール構想などがいっきに加速され、「とにかくICT活用を」と自己目的化し、学校と家庭に大きな混乱をもたらす危険性があることを指摘しています。ICTの活用が、学ぶための「ツール」としての可能性を持つとしても、教員の自主的な実践を通じて、どのように活用すべきかをあきらかにすることが必要であることを訴えて

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