『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年4月号 3月20日発行〉

【特集】「せんせい」になったあなたへ2024

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元京都市教員・高橋智和さんの分限免職処分取り消し判決が最高裁で確定

 元京都市教員の高橋智和さんが分限免職処分の取消を求めた裁判で、最高裁は2月25日、京都市教育委員会の上告を受理しないことを決定しました。これにより、2009年6月4日の大阪高裁判決が確定しました。判決の確定をうけ、全教は別紙、書記長談話を発表しました。


            高橋智和さんの分限免職処分取り消し判決が最高裁で確定
                     高橋さん 職場復帰へ
       国際基準を生かす立場から、摘発・排除の人事政策の見直しを文科省に求める(談話)
                        2010年3月1日 全日本教職員組合(全教)
                               書記長 北村 佳久
 元京都市教員の高橋智和さんが分限免職処分の取消を求めた裁判で、最高裁は2月25日、京都市教育委員会の上告を受理しないことを決定し、京都市教育委員会に通知しました。
 これにより、2009年6月4日の大阪高裁判決が確定しました。
 この裁判は、2004年4月1日付で京都市立学校教員に採用された高橋智和さんに対して、京都市教育委員会が校長などの一方的な情報を根拠にして、事実関係の調査や本人の弁明も聞かずに、条件付採用期間満了日の2005年3月31日付けで強行した分限免職処分の取り消しを求めてたたかわれてきたものです。
 2005年5月の提訴以後、2008年2月28日の京都地裁判決、2009年6月4日の大阪高裁判決では、いずれも京都市教育委員会の分限免職処分を取り消す判決が言い渡されてきました。
 大阪高裁判決を不服として京都市教委が最高裁に上告していたものですが、2月25日に、最高裁はこの上告を受理しないとしたものです。
 
 最高裁通知を受けてただちに行われた京都市教組と京都市教育委員会の交渉の席上で、京都市教育委員会は「今後、職場復帰に向けて丁寧に対応したい」と回答しました。
 高橋智和さんはついに職場復帰することになります。
 高橋智和さんの全面勝利を喜び合うとともに、この間、たたかいを続けてこられた京都市教組と「高橋さんの不当処分撤回闘争を支援する会」の皆さん、支援を続けてこられた全国の皆さん方にこころより敬意を表します。あわせて、本人の希望に配慮した職場復帰の実現を強く期待するものです。
 
 文科省の調査によると、2008年度1年間で退職を余儀なくされた新規採用教員は、10年前の8倍以上にあたる315人に及んでいます。大阪高裁判決確定は、新採用教職員を大きく励ますとともに、これまで文科省がすすめてきた摘発・排除の人事政策を改善させる大きな力となるものです。
 今回確定した大阪高裁判決では、条件付採用期間中の教員を「教員として十分な経験を経た者ではなく、今後研さん等に務めて成長していく過程の者」とするなど、1966年の「教員の地位に関する勧告」が判決に大きく影響しているといえます。2002年から全教は、文科省の「指導力不足教員政策」、「教職員評価制度」について、「教員の地位に関する勧告」の水準を満たしていないとしてCEARTに申し立てを行い、5次にわたるCEART勧告を導きだしてきました。こうしたとりくみを通して、文科省は今年に入って、CEART第5次報告を「最終報告と受け止めている」と表明し、都道府教育委員会にCEART報告と勧告の内容を伝えたことを明らかにしました。
 文科省は、今回の大阪高裁判決確定を真摯に受け止め、「教員の地位に関する勧告」と5次にわたるCEART勧告を生かす立場から、これまですすめてきた「新規採用教員政策」、「指導力不足教員政策」、「教職員評価制度」を抜本的に見直し、改めるよう強く求めるものです。 

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