『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年11月号 10月20日発行〉

【特集】ともに歩もう! ジェンダー平等と教育の世界へ

  • 全教共済
オピニオン

【談話】『グアム協定の強行に抗議し、米軍基地建設への税金投入と辺野古の新基地建設など米軍再編強化に断固反対する』

                   2009年 5月13日 全日本教職員組合 書記長 北村 佳久

 本日、政府与党は、グアム協定の承認案を、参議院での否決にもかかわらず、両院協議会にもちこみ強行した。
 この協定は、沖縄の海兵隊のグアム移転による県民の基地負担軽減を口実にしながら、米軍のすすめるグアム基地強化のために7000億円もの税金をつぎ込み、沖縄に新基地を建設するなど、逆に基地強化を図るものである。審議を通じて、沖縄の米軍海兵隊が削減される保障がないこと、日本の提供する資金が海兵隊の訓練費なども含め61億ドルにとどまらないことが明らかになるなど、まさに、世界に例を見ない前代未聞の屈辱的な協定である。
 
 日本国民が貧困と格差拡大、雇用とくらしの未曾有の危機のなかで苦しみ、日本の子どもたちが学習と成長の機会を奪われている事態に政府がまともな対応策をとらない一方で、多大な国民の税金を米軍のためにつぎ込むことなど、断じて許すことはできない。これだけ重大なグアム協定を衆議院でわずか3日、参議院でも4日の審議で強行したことは、国民に内容が知られるのを恐れた卑劣極まりない暴挙であり、厳しく糾弾する。
 
 今後、政府は、この協定にしばられ、アメリカがすすめる基地の再編強化のための基地建設に唯々諾々と従うばかりか、沖縄の基地負担軽減とワンパッケージに、辺野古への新基地建設という新たな負担を県民に押しつけようとしている。政府の対応は、国際的に対話と道理による平和のうねりが広がる中、これに逆行する異常なものである。負担軽減を言うのであれば、銃剣とブルドーザーで強奪した普天間基地等を、条件をつけずに返還を求めるべきである。
 
 全教は、この間、職場で街頭で協定と政府の対応の不当性を訴え署名を広げ、慎重審議と廃案を求めて、全国から衆議院外務委員、参議院外交防衛委員あてにファックス送付や議員要請にとりくんできた。引き続き、米軍基地建設への税金投入や辺野古新基地建設など協定の実行に反対し、平和と民主主義を願う広範な父母・国民と連帯してたたかう。
 
 あわせて、憲法9条を持つ国の教職員として、アメリカのイラク・アフガニスタンでの武力侵攻の即時中止、侵略の殴りこみ部隊である海兵隊など在日米軍基地の撤去を要求する。
 
 また、国会で審議されている「海賊対処新法」は、海上自衛隊を世界のどこの海にでも派兵し、武力による先制攻撃を可能にするもので、憲法9条に反する重大な法案である。「初めに派兵ありき」とすでに自衛艦をソマリア沖に派遣したもとで国会審議を急ぐことは認められない。徹底審議、廃案を断固として要求し、憲法改悪につながるあらゆる策動に反対する。
 
 全教は、「教え子を再び戦場に送るな」の旗をいっそう高く掲げ、アメリカいいなり、武力一辺倒の外交・防衛政策を抜本的に転換することを要求し、たたかいを強めることを表明する。

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