『クレスコ』

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〈2024年4月号 3月20日発行〉

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【談話】『「事故米」の学校給食への使用についての全容を解明するとともに、学校給食の安全確保に万全を期すことを求めます』

                   2008年 9月25日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男

 三笠フーズをはじめとするメタミドホスなどに汚染された「事故米」による食物汚染は、京都市立の中学校給食に使用されていたことを皮切りに学校給食にも使用していたことが次々と発覚し、本日、新たに香川県、神奈川県、青森県などでの使用も報道されるなど、その影響は全国に波及しようとしている。

 そもそもこの問題の根源は、①政府が「義務的輸入」として日本の国民にとって必要でないミニマムアクセス米を輸入し続けてきたこと、②「構造改革」の中で主食である米の取扱業者を許認可制から届出制に規制緩和し、ペーパーカンパニーも含めて誰でもが参入できる制度に変更したこと、そうした中で、③一部悪徳な業者が汚染米とわかっていながら自らの儲けのために不正な米取引を行ってきたこと、また、④農水省のずさんな管理体制によってそうした実態を見逃してきたことにある。
 
 育ちざかりの子どもたちが毎日口にする学校給食にまで汚染米が使用・混入していたことは、重大問題である。いうまでもなく、子ども達にとっての食物は、その成長・発達に直結するものであり、学校給食は一般に求められるよりもより高度な安全性が確保されなければならない。
 国は今年6月、学校給食法の改正により第9条に「学校給食管理基準」を規定したばかりである。この法の趣旨からも、文部科学省は学校給食の安全確保の義務を免れることはできない。
 「学校給食における食品の安全確保について」とした9月17日付の通知にある「各都道府県衛生主管部局及び農政主管部局等とも連携し、学校給食用食品の安全性の確保に万全の注意を払い、学校給食における衛生管理の一層の徹底に努めるようお願いします」との趣旨を実効あるものにするとともに、農水省との連携を強めて全容を解明し、今後同様の事態が発生しないよう対策を講じるなどの必要な対応を行うことが求められている。
 
 全教は、文部科学省に対し、①今回明らかになった汚染米が、学校給食に使用されていた実態とその流通ルートなどを農水省とともに調査の上、全面的に明らかにすること、また、②健康調査等必要な措置を行うこと、③今後、同様の問題が発生しないよう厳重な管理体制を構築すること、さらに、④この際、学校給食の「合理化通知」を撤回し、よりよい学校給食の実現に向け、民間委託をやめ、食材の地産地消や自校調理方式を推進することを求めるものである。
 
                                              以上

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