『クレスコ』

現場から教育を問う教育誌

クレスコ

〈2024年4月号 3月20日発行〉

【特集】「せんせい」になったあなたへ2024

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専門部

第13回全国青年教職員学習交流集会「TANE!」2021(オンライン)を開催

 全国青年教職員学習交流集会「TANE!」が12月25日~26日、オンラインで開催し、全国からのべ273人が参加しました。

 「子どもの心に耳傾けて~コロナ禍だからこそ見つめ合おう、語り合おう」をコンセプトに、全体講演と3つの実践分科会、4つの講座を開催しました。1日目の終わりには「放課後TANE!」と称して、分散交流も行い、日ごろの思いを交流しました。

 全体講演は、元小学校教員で現在、和歌山大学講師の土佐いく子さんが、子どもたちの心の声を聴くとはどういうことかを、出会ってきた子どもや保護者とのエピソード、作文の実践を通して語りました。

 目の前の子らをまず受け止めること、そして大人がまず心を開いて自らを語ることの大切さを語りました。後半はどんな先生からも学ことがある、子どもの話ができる職員室にと職場作りの経験を語りました。参加者からは、「『人間の真実を語る ほんまもんの言葉を届けたら 人って変わる』どれだけ私は真実を語ってこれたのだろうか…」「土佐さんの話に引き込まれました。これまでも子どもの心の声を聴くことが大切だなと思ってはいたけれど、正直日々の忙しさに負けてしまって、感情のまま怒ってしまうことがありました。子どもが出すsosを敏感にキャッチできる先生でありたいと思います。同じように職員室内のsosにも手を差し伸べられる先生でありたいです。」などの感想が寄せられました。

 2日目は、以下の、4つの講座と3つの実践分科会を行いました。講座では、広い視野をもって教育活動ができるような学び、実践分科会ではレポートをもちより学びあいました。

 2日間を通して、子どもを深く理解する視点を学び、子どもたちが生きる社会や学校の在り方をみつめました。

講 座

1. 「自分らしく」って? ~ジェンダーを考える~

「多様性を大事に」と教えられてきたけど、多様性について本当に理解できていますか?社会的に見た変革の歴史や学校において配慮できること、当事者から見た視点など、一緒に学んでみませんか。

2. 本当に守られてる?子どもの権利

~子どもの権利条約から考えよう~

これまで当たり前のように受け入れてきたことが、実は子どもの権利を侵害していることがあります。私たちの“学校とはこういうものだ”という思い込みが実は間違っていることがあるのでは?今のように画一的で競争的な学校で良いの?「子どもの権利条約」を学び、子どもたちの要望・願いを生かした学校づくりを考えます。

3. 語り合おう青年部交渉

~全国の仲間はどんな要求しているの?~

青年部交渉、どうしていますか?全国の仲間の要求、要求を前進させる回答を引き出すための創意工夫、知りたくありませんか?実際の交渉レポートと各自治体の要求書を共有して、よりよい青年部交渉を実現するためのヒントを全国の仲間と語り合いましょう!

4. 組合って何? ~One step for us~

組合は何のためにあるの?組合活動って何するの?拡大って必要?参加者の質問にピンポイントで答えます。魅力的な活動を生み出すための基礎講座

実践分科会 

5.子どもに寄り添う語り場

~この子とどう向き合ったらいいんだろう~

クラスにいる「気になる子」について情報交換をし、明日からの指導に生かせるヒントを持ち帰りましょう。

6.どうする?どう考える?ICTの活用

どう使う?端末の活用方法や児童生徒の情報モラルに関して頭を悩ませる日々。ICT活用のあり方にスポットをあて、授業以外でのICTの活用方法や今後の課題や問題点を探ります。ぜひ意見や悩みを共有して、一緒にICTのありかたについて考えていきませんか?

7.ブラック校則 ~誰のため?何のため?私のため?~

全国的に、ブラック校則が問題視されるようになり、文部科学省からも校則の見直しについて通知が出るようになりました。皆さんの学校、自治体では、どのように見直しが進められていますか?実践報告と共に、校則について考えを深め、たくさん意見を交流し合いましょう。

 感想より

〇(講座1)社会の規範に当てはめるばかりになっていないか改めて見つめなおす機会となりました。誰かの生きにくさを想像し、だれもが生きやすい社会にしていくため、新しい視点を子どもたちにも伝えていけたらなと思いました。一度の研修ではなかなか難しいとも思ったので、継続的に学び続けていくことを心掛けたいです。ありがとうございました。

〇(講座2)実践を聞かせていただき、とても感動しました。学校では、ルールを子どもに押し付けてばかりで窮屈なところがあるので、もう一度、子どもの意見を聞くことを丁寧にやっていきたいと思いました。教員自身も、自分の要求や権利を発信して、学校を変えていくという経験が少ないので、自分たち教職員自身も学校づくりを通して要求を実現できるようになっていきたいです。

〇(講座3)青年部は3年前に再編成されこともあり、交渉のノウハウが全く分からなかったので、大変勉強になった。交渉に仲間をどう巻き込むかなど、どの地域でも努力されている実態を知り、頑張らなければと勇気づけられた。「新しいあたりまえ」を築くべく、仲間と頑張っていきたい。

〇(講座4)勉強不足な自分に対しても丁寧に一つひとつ説明いただけて本当に助かりました。組合の活動、組合費の意義、今後の方向性についてよくわかりました。また、全国の仲間との絆を感じられる貴重な時間になりました。

〇(実践分科会5)2つの事例から子どものマイナス面ではなく、プラス面に注目していく姿勢が大切であると思いました。そしてマイナス面を子どもの課題とするのではなく、関係者間で共通の課題として取り組むような支援体制も並行して行う必要があるのだと思いました。

〇(実践分科会6)学校で必死にやらされているだけでは気づけない視点に、たくさん気づけたし考えられたのが良かったです。表面的な部分だけを話していると、校種によって課題が違うような気がしましたが、本当はもっと深い部分(ICTのそもそも論というのかなぁ?)は同じで、それについて、みんなで語り合い学び合う必要があるのだと思いました。

〇(実践分科会7)とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。校則に関しては、私が中高生の時にとても疑問を抱いていたことでもあります。大学生活を送る中で、「現場に出たらどう指導すればいいんだろうね」と、友達と日常的な会話の中で話題には出ることもありましたが、曖昧なまま生活していました。今回参加した事で、自分が少しでも引っかったり、疑問に思ったことについて考えることの大切さを再認識することができました。今後に活かします。ありがとうございました。

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